【建築設備はかせ】排水通気管の目的と役割(排水管の勾配・施工)

建築設備はかせ

◆排水通気管の目的と役割の解説

◆排水通気管とは?

住宅の排水設備は、排水管と通気管によって構築されている排水システムです。

排水は基本的に重力の働きを元に、排水管に勾配を設けることで排水の流れを作ります。

しかし、排水管の内部は絶えず管内の圧力変化の影響を受ける為、空気圧が変化しております。

この空気圧の変化を調整し排水設備がしっかりと機能するように正圧、負圧の調整を行っているのが通気管です。

◆通気管の目的と役割

排水設備に通気管を設置する目的は、前述したとおり排水管内の空気圧を調整する事です。

排水管は住宅外の排水システムと繋がっているため、異臭や害虫の侵入経路ともなり得る部分です。

その為、排水管には排水トラップ装置が設けられておりますが、排水トラップ内の封水は排水管内の空気圧の変化によって破封が起こり、封水切れをおこしてしまうケースがあります。

また、通気管は排水管内部の空気の流れを作り、排水管内面の換気を行う役割も担っております。

◆排水管・通気配管の勾配・施工

排水設備の排水管は管内の排水が円滑に流れるように、そして排水に含まれる小さな固形物がパイプ詰まりの原因とならないように曲がり部分は45度以下の角度が基準で、排水管自体も勾配を設け流れを円滑にする工夫が施されております。

また、通気配管も配管内に生じる水滴が排水管に流れ落ちるように、通気配管に勾配をつけて施工します。

◆通気配管の種類と役割

排水管及び通気管は建築物内の配置によって名称、及び特徴が異なります。

ここでは建物内の主要の通気配管の種類と役割について解説します。

【通気配管の種類と役割】
伸頂通気管排水立管の頂部となる通気管。通気立管を設置しない場合に伸頂通気管を設置し大気中に管内の空気を開放する。
排水横枝管建物内部の各階を通る排水立管から分岐して更に各階の末端設備に樹の枝上に分岐し接続する通気管。
通気立管排水立管の最下部に接続し単独で立ち上がる通気管。最上部を大気に開放する鉛直に設置される縦管。
ループ通気管樹の枝のように各階に伸びる排水横枝管の末端部に位置する排水器具と通気立管を接続する通気管。
逃し通気管排水管と通気管の双方の空気の流れを円滑にするために設置する通気管。器具を8個以上持つ排水横枝管に設ける。
結合通気管排水立管と通気立管を接続する通気管。